あの日、聞いた音1…沖縄 - 石井康嗣.mp3
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[00:31.951]その音は[00:33.705]少年時代の彼にとっては[00:36.701]日常の全てだった[00:40.449]南国の日差しを避けるかのように[00:43.457]汚れた路地裏に身を潜めながら生きてきた彼は[00:47.949]たい月超える軍用機の音る中で[00:51.955]数多くの悪事[00:54.197]その小さな手を染め続けていた[01:00.201]彼は生まれてからいつも孤独だった[01:04.704]別にそれを不思議だとも思わなかったし[01:08.952]これから先も[01:10.707]永遠に孤独の不調は歩いていく[01:13.204]ものだと信じて疑わなかった[01:17.197]だからその目は[01:19.705]全ての人間に疑いの炎を向け[01:23.953]どこまでも獰猛に光っていたのだった[01:30.954]だがその日[01:33.707]少年はタバコの煙と喧騒の渦巻く酒場で[01:39.198]一人の男と出会ってしまった[01:44.701]男は小柄な日本人であるにもかかわらず[01:49.449]叫ばにあふれるアメリカ兵達の中に混じっでも[01:53.455]誰よりも大きな存在感を持って[01:56.450]少年の前に現れたのだ[02:02.452]反町と名乗ったその男に[02:06.204]少年は一目で魅せられてしまった[02:11.950]反町の鋼のような肉体から迸る[02:15.701]美しいまでのさっきから目が離せなかった[02:22.456]こんな男に 自分もなりたい[02:28.206]それは生まれて初めて抱く感情であり[02:34.207]そしてこのことが少年を[02:38.201]修羅の道に引きずり込んでいくことになるんだった[02:48.451]そう、もしかしたら[02:52.702]彼はこの時[02:54.954]反町と出会うべきではなかったのかもしれない[03:00.203]そうすれば[03:02.953]この後に起こる[03:04.209]数々の運命の流転に翻弄されることもなく[03:09.201]孤独ではあるが[03:10.710]居心地の良い路地に潜んだまま[03:13.959]その生涯を終わることができたかもしれないからだ[03:36.706]少年が反町と共に[03:38.457]旅立つことを決心した日[03:42.450]聞こえていたのはやはり[03:45.459]全てを覆い尽くすように響く[03:48.710]軍用机の音だった
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